説明:リプレイ記とは?
本来、プレイ記というのは人によって定義は違うだろうが、大体の場合、
何の知識もないまま、まっさらな状態でスタートするものではなかろうか?
しかし、逆に一度それなりに情報を収集した上で改めて序盤を振り返ることで、
分かってくる側面というのは思っている以上に多く存在するのではないだろうか?
それを言ってしまうと、当サイトの黎明期のコンテンツ、半閉鎖現在工事中の某M戦記などは、
ハードモードプレイであったという点を除いてはほぼリプレイ記という扱いになってしまうのだが、
(当時は平行して二つつけていたという設定で書いていましたが・・・)
それは置いといて、まず第一回目として、
昨日、ルパンとのコラボで見事に大勝利を収めたこちらの作品の第一話を考察してみましょう。
「は、早くいいたまえ!!
いったい誰だね!? わたしの家内を殺した犯人は!?」
「それは・・・」
ご覧の通り、犯人は阿笠博士のようです。
この冒頭のシーンでは工藤新一としての名探偵振りを端的に表現するために、
事件の一部を紹介する形をとっています。
うん、そこまではいい。しかし、だ。周囲に大勢の警官やら関係者が集まる中、
無謀にも逃亡を試みる阿笠博士に対して、
御覧の仕打ちである。都合よく不自然に床に設置された地球儀を
サッカーボールの如く蹴り飛ばして、後頭部に直撃である。
これでは下手をすると、工藤新一が殺人犯として逮捕されかねない。
と思ったのですが、蘭も器物破損で逮捕されかねない勢いだ。
しかし、素手でコンクリート割るくらいのことをやってのけるくらいだし、
彼女の鍛え方が尋常でないことが伺えるシーンであることを強調したいのだという解釈をすることにしました。
僕にはとてもできない。因みにこの頃はまだアホ毛じゃないですね。
そして、この物語の一つのキーワードとなる名探偵、コナン・ドイルが生み出したシャーロック・ホームズが、
探偵に必要な運動神経をつくるために剣術をしていた、冷静沈着で、知性、教養があふれ、天下一品の観察力と推理力を併せ持ち、
バイオリンの腕が天下一品であるという薀蓄を延々と蘭に語りかける振りをして、
読者に伝えるという力技をやってのけた。
で、アニメにおける記念すべき第一話といえば、ジェットコースター殺人事件だったと私は記憶しておりますが、
原作でもまさにその通りであり、舞台はトロピカルランドという、一体何をモチーフにしたのかさっぱり分からない遊園地に移ります。
・・・これは、あれなのだろうか?作品が後々アニメ化することを踏まえて、あえて勘ぐられない名前を捻出したのだろうか。
ネズミーランドでも何でも良かったような気もするのだが・・・
と思いましたが、これでは殺人事件を題材にするにしては緊迫感のかけらもないな、
と自己解決しましたのでこれ以上この点に関しては触れないことにします。
ここでも先程と同様に「助手のワトソンに初めて出会った時。握手しただけで、
彼が軍医でアフガンに行ってたことを見抜いてしまったんだ・・・」
と、読者に対してホームズ薀蓄を垂らしてきます。
作者が如何にシャーロック・ホームズを贔屓しているかというのが改めて伝わってくるシーンである。
しかし、このシーンはいただけない。
時代が時代ならば工藤新一は訴えられても仕方がない行動をまたしても取ってしまっている。
この作品が始まって未だ一話も終えていないのに早くも前科が2つも付いてしまった。
因みに、このシーンでは新一は女性が体操部に入っていることを言い当てるのだが、実は、
風でスカートがめくれた時に体操選手独特のアザを見たから分かったのだと、本人の前で白状している。
スカートの中に隠れたアザを見つけるなど、相当凝視しなくては出来ない芸当だろう。
単純に罪状倍増である。
ここで、ジンとウォッカの初登場となる。コマも小さいので意外とインパクトは感じられない。・・・と思われるかもしれない。
何故、黒ずくめの男二人組みが順番を横取りしてまでジェット・コースターに乗りたがるのか?
本来姿を隠すために身にまとう黒装束であるが、これでは怪しさ倍増。自らここにいるとアピールしているようなものである。
現在の彼らのスタンスは・・・というと、関係者までもを容赦なく殺し、証拠を徹底的に消滅させる完璧な手段を講じている。
その点を鑑みると、今回の行動は愚の骨頂であるとしか言えない。
その後、無駄なイチャイチャシーンを経由した後、
(読者に対して)この仕打ちである。軽くトラウマになった小学生諸君も多くいることだろう。
普段死体なぞ見慣れてるであろうウォッカでさえ、アホの子のように開いた口が塞がらなくなっている。
世が世なら、このシーンも当然カットされてしかるべきくらいの残虐描写だ。
ゲームで言えばCERO D 位には楽々認定されるのではないだろうか。
そして間髪なく入り込む警察の面々。
何でこんな迅速にやってこれるのか。高木刑事のデート現場を押さえるために人員を割いているような組織だ。
今回も目的は恐らくデバガメだと思われる。
しかし、それ以上に、
や、やべ・・・・・・
我々読者に与えるインパクトは絶大である。
数ページ後には上のような顔をしているというのに・・・こ、こいつはいったい!?
と思ったのも束の間。その後、すぐにチープなキャラクターに戻るのですが・・・
ここで自らの存在をアピールして一体何がしたいのだろうか。
ジンの冷酷無比な性格を考えると、やはりここはどうも納得がいかない。理解に苦しむ。
その後、犯人はめでたく特定されるわけですが・・・
いかにも怪しい二人は白だが、警察が来たとたんにオロオロしてみたり、
ふとした瞬間には今まで何人も殺してきたような目をしてみたり、もうそろそろ訳が分からないので、
自分なりにこれは何故だろうかと解釈しようと思ったのだが、自分の有する専門書などから考察するに、
恐らくは解離性人格障害の一種であると思われる。
工藤新一曰く、犯人なら、こうなること(=警察が来ること)はわかっていたはず、
とのことなのだが、日ごろ犯罪に手を染めている彼らは日本の警視庁どころかFBIやらCIAに追われているのだから、
この程度のこと(冤罪にすらなってない状況)でここまでおびえあがるのはやはり何かがおかしい。
ここで、彼らがジェットコースターに乗った理由が判明します。
丹下段平との密会であった。
しかし、コースターから確認するなどという、効率の悪い方法をとるのだろうか。
絶叫マシンに乗って人一人を遥か上空から確認するなどという離れ業は到底無理だ。
そんなことが出来るのは私の知る限り、ミスタービーンくらいだ。
宇宙飛行士になるための訓練でも受けてきたのだろうか。
というか、本人確認の為にジェットコースターに乗ったというその理由自体が無茶苦茶だ。
しかし、確認できたのだから出来なかったよりはまあ、いいのだろう。これ以上深く考えないことにする。
NASAも顔負けの訓練を組織の中で積んできたことは想像に難くないことはここまでの経緯からお分かりいただけるだろう。
にも拘らず、警察にはビビるのだ。
新一はこの取引現場を押さえるのに夢中になり、ジンにやられてしまうわけですが・・・
背後からの見事な一撃である。
僕はこのシーンを見てふと、冒頭の阿笠博士に地球儀を蹴りつけるという蛮行を思い出しました。
僕は罰が当たったのだと思いました。因果応報というものをこの作品は語りかけてくれているのだとしみじみと考えさせられます。
名探偵コナン (C)青山剛昌 小学館