三池崇史監督作品


さて、別段ここで取り上げるような内容でもないことは重々承知の上であるのだが、筆を取らせていただくこととしたい。


デッドオアアライブ 犯罪者 1999角川映画、東映ビデオ

哀川翔、竹内力の日本Vシネ界を代表する二大巨頭が織りなすハードボイルド(?)作品である。
以前から欲しいと言っていた(っけ?)友人へのプレゼントということで
昨年、某大手通販サイトでポチって贈答させていただいた次第であるが、
掟破りのIターンで不肖某の手元に戻されてしまった次第である。

と言うのは口上であり、面白いから見ておけよ、というお達しであることは火を見るより明らかであり、
決して、ク○映画の烙印を押されたわけではない。
友人ランキング1位だという本作品の実力や如何程であろうか。

ところで、角川映画といえば、筆者はここ数年で原作付きのホラー(?)映画で立て続けに煮え湯を飲まされており、
(具体的には綾辻行人原作のミステリだったり、コーエーテクモ原作のゲームだったり)その深い痕は未だ癒えることを知らない。

ホラーを謳っておきながら、寧ろそれはギャグにこそ生きるのではないだろうかと問い詰めたくなる演出チョイスの拙さ、
絶命の描写としてはベタだろうが、首をもがれる描写というものもあるだろう。
しかし、これらの作品では、もがれるというよりは首を傾げさせられる改変を随所に散りばめるという、
斬新な手法に挑戦しており、如何に戦の戦士といえども、唸り声をあげずにはいられないであろう。

本来恐怖を感じることを意図して作られたシーンは大人の事情という無慈悲なブラックボックスの中で熟成を繰り返し、
えも言われぬハーモニーを奏でるその様に、心が洗われる気持であった。
ホラーとは何なのか、そんな根源的な質問に回帰する機会を与えてくれることを感謝すべきなのであろうか。

真夏の夜に涼を求めた筈が、温暖化現象を引き起こすことになろうとは予想だにしなかった。
これらの作品についても一筆認めることも吝かではないが、またの機会にさせていただきたい。

話がそれてしまった。こんなトラウマものの歴史を少しばかりは重ねている筆者ではあるものの、
イチオシだというからには真剣に拝聴させていただこうじゃないか。

さて、三池監督といえば、バイオレンスと硝煙のにおいに定評がある日本を代表する映画監督である、
というのが筆者の認識であり、数年前には海外の名立たる映画祭にも出品、受賞歴もある。

一方、原作付きの作品には監督独自のこだわりというか、アレンジを加える傾向があり、これが功を奏すことがあれば、
あらぬ方向へ迷走してしまうことも少なくない。
某火星探査の話など、その最たる類のものではないだろうか。見える地雷原に誰が突っ込もうと思うのか。
プチSF作品は監督の得意とすることろではないのかもしれない。

さて、本作品、デッドアオアライブに関していえば、監督の本懐とするところのバイオレンス作品である。
「フツーに生きたいなら、このクライマックスは知らないほうがいい」
刑事の翔さんが、ヤ○ザの力さんを追い詰める・・・あらすじを一言で語るならばこれで完結してしまうのだろうか。
どう考えてもこの両名が対峙する未来は変えようが無いように思われる。

開始早々、中国マフィアとヤクザのドンパチが目まぐるしいスピードで展開される。
中国マフィア扮する大杉漣がコカインと思しき白い粉末を一気に吸引し、ラリッて見たかと思えば、
あっさりとショットガンで撃ち殺す力さんがいたり、
かと思えば、ストリップショーを挟んでみたり、ホモ○ックスからの首筋ナイフで血液プシャーなど、
序盤から飛ばしすぎである。特に、ラーメン大食いしまくっていた男を撃ち抜いた際に、
腸からラーメンがぶちまけられたシーンなんかはその最たる例であろう。。もう、やりたい放題だ。
これを単なるヤクザ同士の諍いではないと睨む翔さんの慧眼には感服せざるを得ない。

一方、これだけ突き抜けてしまうと、中盤以降はさっぱりしているように感じてしまうのは、致し方がない。
情報屋ダンカンは何故だか獣○させる様を楽しんで見ているし、
ヤクザの石橋蓮司は、やはり何故だかとしか言いようがないのだが、女を肥溜めの中で溺死させ悦に浸るし、
クレイジーとしか言いようがないが、やはり序盤の展開に比べれば、中だるみである。
競馬でいうところの先行逃げ切り型というやつであろうか。
目覚まし代わりにちょっとしたスパイスを加えられただけなような気がしてしまうのは素人考えだろうか?

クレイジーと言えば、監督の作品でここ数年の内に拝聴させていただいた『藁の楯』という作品があるが、
本作は政財界の大物が、その娘を惨殺した殺人犯に膨大な懸賞金を懸け、殺害依頼を日本全国に公告するという、
なかなかセンセーショナルなお話である。
一方、警察は威信を懸け、何としてもこの殺人犯を無事に警視庁まで護送するというミッションを課せられる。
職人気質の日本人向けの題材と言っても過言ではないだろう。
その中で発生する裏切り、殺人犯自身による凶行、上層部の腐敗、事態は全く予断を許さない・・・
そこはバイオレンスに定評のある監督である。展開の速さは折り紙付きであり、見ていて飽きが来ないのである。
警察が無能過ぎるのはいただけなかったが。

無能といえば主人公を引き立たせるためにこの手の作品では、
必然的に公的機関はレベルキャップでも課せられているかのように役立たず気味に描写されることが多いが、
要はバランスである。ワンサイドゲームというのは時にも必要なファクターであることは重々承知しているものの、
それは、あくまで物語に介入する「何か」を引き立たせるために重要な描写であり、
過度な無能演出はかえって「何か」の存在を貶めることになりかねないことを私は学習した。

さて物語は、石橋蓮司率いる歌舞伎町のヤクザと鶴見慎吾が率いる台湾マフィアの結集パーティに
力さんの乱入や翔さんの同僚、寺島進の介入により急展開を見せる。
・・・やりたい放題やな。
力さんサイド、翔さんサイド共に多くのメンバーが失われる波乱の展開である。
その後は翔さんの家族が車もろとも爆破される衝撃のシーンを経て、
最終的に、必然ともいうべきか、1対1のシーンへと導かれる。

まあ、あのラストは予想つかんわ。
オチのせいでこれまでの振りが全部なかったことになった気がしたが、
そもそも全てが破綻しているのでそんなことは些末な問題である。
時間の無駄と思われる諸兄もおられることと思うが、そもそもエンターテイメントとは、
そういうものであろう。ありったけの時間をこうして無為に費やすからこそ光輝くというもの、
そういう無理矢理な持論を展開しつつ、筆を下ろしたいと思う。というか、書くの飽きた。

そして本ページは、FA日記のページを適当に加工して作っただけの
やっつけであることはクラスのみんなには内緒にしておいていただきたい。

以上。


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